27ddd40c.jpgぼたん鍋と京料理の店、「畑かく」の個室。
大雪の京都の夜に、ぼたん鍋を戴くなど、最高の状況となった。冬は、ほとんどぼたん鍋の客だろう。人気があるので予約していないと、なかなか入れならしい。もちろん、以前から予約していた。大正7年からの老舗で、炭火の囲炉裏を囲んでいただく。
手慣れた仲居さんが説明しながらやってくれるので、熱燗を戴きながらゆっくり楽しめる。鰹と昆布の出汁に辛口の白味噌を加えた、秘伝の白味噌出汁というのが、何とも美味で、牡丹の花のように美しく飾られた脂肉を見たときは、胃の調子もよくないときで、これは無理だと思ったけれど、隠れている下の方は赤身。ホッとした。それに、食べてみると淡泊で、秘伝の白味噌出汁というだけあって、美味しいこと、美味しいこと。胃を気にしながらもずいぶんと戴けた。出汁だけスープとして飲んでも、いくらでも戴けるという凄さ。さすがだ。
酒の突き出しに「もろこ」の甘露煮が出た。5匹ほどだったか。これがまた逸品で、おおっ! と唸ってしまった。「これは販売してないんでしょうか。あったらいただきたいほど美味しいですね」と言ってみた。すると、奧に訊いてみましょうと言われ、用意できますとのこと。バンザイ。言ってみるものだ(こんなことを書くとまずいだろうか……?)。ひとつ(一折)2500円と言われ、ふたついただいた。帰って計ってみると150グラムずつ。300グラム5千円が高いかどうか、食べてみれば高くはないのがわかる。
もろこはコイ科に属する淡水魚。琵琶湖特産だ。ブラックバスなどが泳ぎまわるようになっているせいか、数が減り、今では取り引き価格がぐんと上がり、高級魚として京都の料理屋にまわされることが多いらしい。
「畑かく」のもろこの甘露煮は、生きたまま使うので(当然か)、臭みはないし、味の表現はできないけれど、ともかく、こんな美味しい甘露煮があるのかというしかない。高価なので、チビチビお酒を呑みながら1回5匹まで戴いている(笑)。もろこは4〜5センチの小さな魚。