c5c6401c.jpg扉温泉の明神館には、とにかくあちこちに花が飾ってあり、花が大好きな私には嬉しいもてなし旅館だった。

「記憶にございません」というのは政治家や、胡散臭い人達の逃げの言葉として有名だけど、私は本当に最近というか、特にここ数日、記憶がなくなってしまっていることがあってアゼンとする。
昔から朝出した手紙のことを夜には忘れているほうで、内容などほとんど覚えていないので、何もここ数日だけのことではないかもしれないけれど……。

手紙はいつ出して、いつ誰から来たか、ウン十年、すべてつけている。でないと、今朝出した手紙も忘れて「お久しぶりです」なんてことを、また同じ日に書く危険があるから。
ある人に随分手紙を書いていなかったよなあ……なんて思ってノートを見ると、2日前に出していたりする。
考えてみると恐ろしいことだ。

だから、手帳に書いていないことはほとんど記憶から消える。それが恐くて私は小学校の高学年から必死で日記を書いていたのかもしれない。
小説だって、書いていて前のほうを忘れる。登場人物の名前はしょっちゅう、メモを見ながら書く。
すでに出ている本の続きをと言われると困る。
前の本を読み直さなと、どんな話か忘れているから面倒なのだ。
で、読み返しながら、あれ、なかなか面白いなあと思ったりする(笑)。
これでよくモノカキをやっていられると感心する。
世界七不思議に入れてほしい。

最近は目の前のものさえ見えなくなって、これまた困っている。
目はいいはずなのに、果物を剥いて目の前に置いていても、「あら、剥いたはずだけど、剥いてなかったかしら……」と考えたり。
で、目の前にあるのを指摘されてボーゼンとしたり。
買い物をしてお金はきっちりと払うものの、買ったものを持って帰るのを忘れ「お客さん、荷物!」と言われることは珍しくないので、まあこんな日常が私にとっては普通なのかもしれないけれど……。
それにしても、まずすぎないかな……???
むろん、時間が一定していない朝御飯を食べたかどうかなんて覚えているはずがありません。
お腹が空いたら食べるのです。